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『[琵琶湖のシャローから] "The Flipper"- 発売にあたって③セッティング』 (中村 大介)
みなさん、こんにちは。
The Flipperの解説編、第三弾です(初回はこちらから/blog/2018/05/the_flipper-.html)
/product/brand/abugarcia/a_rod/fw_rod/hornet/hornet_stinger_plus_1.html
ここまでのポイントを整理すると、この竿は、私の解釈するところでのフリッピングの正常進化、ブレイド(PE)ラインを用いたヘビーカバーへのフリッピングのみを意図。
そのためのブランクスとして、”竿全体でちゃんと曲がって仕事をする”ものであるのが最大のポイント。
そこにブレずに、それだけを求めて、つまり、ブランクスには軽さや感度も敢えて求めず、しっかりしたものに仕上げていただきました。
すると、そこに使いやすさを求めていくときに、今回のテーマ、ガイドやグリップといったブランクスを竿に仕立てていく段階で出てくるパーツを用いた「セッティング」の話しがでてきます。(とは言え、必要な道具を使いこなせるように自分を鍛えるのも、僕は魚釣りの一部と思っています。)
そして、このテーマについては、
1) ガイド
2) グリップ
3) バランサー
の3つの観点から、このロッドに込められたものを整理してみます。
1) ガイド - マイクロガイドをストレートに用いたセッティング
フリッピングの竿のガイドに関しては「ノーマルのガイド or マイクロガイド」、そして「ストレート or スパイラル」セッティング。この2×2の4通りの中から選ぶことになります。
僕はもともと、真逆のノーマルガイドをスパイラルにセットした竿をカスタムで作って使っていました。
この場合の最大のメリットは強度、ガイド自体も強いし、またスパイラルセッティングの最大メリットは(しばしば誤解ありますが)強度に対する優位性でしょう。
ベイトキャスティングロッドで釣りをしていての破損というのは、捻じ折れる形が多いはずですが、意図的に竿の強いところ(バッド)でこちらから糸の通り道を捻っておくことで、それを防ぎます。
ブレイド(PE)ラインが絡みづらい、というのはその次のメリットでしょう。
(なお、スパイラルにセットするなら、左手で糸を持つ=右利きが前提のフリッピングの竿であれば絶対に右回りです。ただでさえ抵抗の大きいセッティングですから、少しでも抵抗を減らせます。)
それを踏まえた上で、僕はマイクロガイドのストレートセッティングです。
初めて、STUDIOS 8を使った時に衝撃を受けました、マイクロガイドをストレートにセッティングするとフリッピングの精度がスパイラルと比較になりません。
スパイラルガイドは、ピッチング・フリッピングをした時に自分が意図した弾道からそれます。
フリッピングの距離において数センチの単位ですが、それを毎投修正しながら釣っていました(VTRで観ると無意識に竿を倒して修正していたのです)。
それが、マイクロガイドのストレートセッティングだと、まっすぐに、そして抵抗少なくスパッと目掛けた位置に投げられる。当然、釣りの精度があがります。
僕は、マット系のカバー含めて、どの位置に落とすか、がフリッピングの釣りにおける最大のポイントだと思いますので、これがベストと決められるわけです。
なお、このセッティングの場合の最大の留意点はもちろん強度、となります。
ですが、竿自体の強度に対しては、ここでブランクスの良さが活きてくる、もっと言えば、ブランクスの強度の低さをスパイラルガイドで誤魔かす必要がないとも言えます。
また、ガイドの強度自体は絶対的に大きい方が強さを出せる、つまりある程度のところで折れが生じるのを修理しながら使うことも想定していましたが、僕自身、まだその状況はありません。
この辺りは、さすがにマイクロガイドでのセッティングの歴史があるメーカーだな、と感心するところでもあります。
ちなみに、糸絡みについては、現在のセッティングで僕は全く気になりません。
もしこのセッティングで糸絡みが多発するなら、糸の問題か、竿さばきが雑か、ではないかと思います。
2) グリップ
この竿のセッティングで、もっとも迷わなかったのがガイドであれば、逆に意外な発見があったのがグリップでした。
もともと、これに関してはホーネットスティンガーの標準、いや、現在の竿でもっとも標準的と言えるフォアグリップを省略した形でした。
それが、ブランクスも煮詰まっていく中で、どうもしっくりこないところがあって、お願いをしてフォアグリップを着けてもらいました。
これが予想以上に効果的で、手元がドッシリすることで、竿を振った際、魚を掛けた際の安定感につながっています。
テコの原理の話しですね、竿を立てた時の支点より下の部分に重みが出て、魚を掛けるような支点より上の入力に対する安定度が増したという理屈を体感できました。
(ちなみに、この観点から、リアグリップの形状や、コルクとEVAの使い分け、そしてリアグリップの長さ/不必要に長くないこと、にもリクエストが反映されています。)
また、ジョイント部分がフォアグリップの上にあることも、副次的に手元のドッシリ感につながっています。
ホーネットスティンガープラスのシリーズの中でも独特のこの見栄えは、機能面からの必然でした。
また、ホーネットスティンガーシリーズのグリップが、細身かつ、トリガーが長すぎず短すぎない、非常に取り回しの良いものであるのは、もとよりの僕のお気に入りです。
3) バランサー
この竿の自重は238g平均。
こういう数字を気にする方がいる、というのは百も承知ながら、僕は本当にいいフリッピング用の竿を作ることのみにフォーカスした結果がこうなりました。
ただし、この数字に含まれるものは、厚みのあるブランクスだけでなく、前述のフォアグリップ、そして適切なバランスを作るためのバランサーまで含まれることをお忘れなく。
私なりには、やたらにエンドが重たければいいと言うことでもなくて、最後は感覚値としてバランスがいいところ、リールを着けて振ったときに一番バランスの取れていると感じられる重たさを入れています。
こういった細部への煮詰め方でも、本当にフリッピングをするのに効果的な、フリッパーを助けてくれる竿になっています。
それは先日のNBCチャプター琵琶湖、リミットメイク率が25%を切るタフなコンディションの中でも3回の入れ替えをして5kg弱、表彰台の4位に登れたことであらためて感じました。
次回は、そんな実践においての使い方、タックルバランスについてお伝えすることで、このシリーズの最終回としてみたいと思っています。
中村 大介
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