私がスピニングリールに求めるもの

ベイトタックルに比べ繊細な釣りに使用されるケースの多いバスフィッシングシーンのスピニングタックル。


その要となるスピニングリールにはベイトリールよりも繊細さと精巧さを求められ、高級なものほどいいと思われがちだが、実際にはそうとも言えない。 ベイトリールはキャスト時にスプールが回転し、その回転の初速や持続性によってキャスト性能が決まる。またスプールがラインの送り出しより過回転して起こるバックラッシュと言われるライントラブルを防ぐために、状況に応じては繊細なブレーキ調整が必要になる。リールの機能がキャストに大きくかかわっている。

一方、スピニングリールはキャスト時にはベールで抑えられていたラインがフリーになるだけで、ラインに合わせて回転する部分はなく、それを制御するブレーキも、回転を高める機能も必要がない。Revoのシリーズにはロケットラインマネジメントシステムという出ていくラインをサポートする機能があり、トラブルを軽減し飛距離をアップさせているが、キャストに関わるリール機械的な機能ではなく補助的な存在だ。


巻き取りに関してはスピニング、ベイトともに滑らかに越したことはないが、巻物で使用する機会の多いベイトリールのほうが、巻心地の良さは重要とも言えよう。そのようなことから、どちらが?と聞かれれば私はスピニングリールよりベイトリールの方にコストをかける派かもしれない。

ではスピニングリールの進化に何を求めるのか?もちろん精巧さや繊細さの向上はストレスを軽減してくれるし、トラブルを軽減してくれるシステムは大歓迎だ。だが、スピニングリールが起こすトラブルはほとんどがラインを垂直に巻き取っていくことによって起こるラインのヨレであり、それは軽減することができても構造上なくすことができない。巻き取りを開始するときにケアしてやることが一番の対策で、ラインの柔らかさや太さにも左右される。

繊細なラインを使用したときにラインブレイクを防いでくれる手段であるドラグシステムはスピニングリールの中でも最も精巧さを求められる部分であり、選ぶ側もここは大切なところだろう。これについては私にも大きなこだわりはあるが、ある程度以上であればテクニックでカバーできる部分でもある。スプールの回転をベイトリールのように指で制御してやればいいのだ。

スピニングリールに求めるもの、それは私の中では一番が軽さ。繊細なリグを扱うため、軽ければ軽いほど良い。なので2500番よりも軽い2000番手を愛用している。それから巻き始めのスムースさ。ここが重たいとリグの操作が怠くなる。

RevoのTHETA(θ)シリーズはフリクションフリー構造という機能で、この巻きはじめのスムースさ向上し、実際使ってみて、かなり気に入っている。昨年末から試合でRevoMGX THETAを使用してきたが、ALX THETAも2000番手で200gと重量は気になる程度でもなく、併用して今は使っている。

 

価格も安いため入門者から中級者、あるいは予算の中で沢山のリールを用意したい方などにはお勧めのリールだ。

巻き始めのスムースさはある意味値段を疑うほどの使用感で、ドラグ性能にも不満はない。こういったところが揃ってしまうとベイトリールほど価格帯による性能の差を感じなくなるのがスピニングリールの怖いところでもあり、良いところでもある。

車に例えると、低価格帯だから乗り心地が悪い、という訳ではなく若干燃費が悪い程度のお話に感じる。もちろん繊細さが極限まで問われ、プレイ時間が長時間にわたるトーナメントでは軽いに越したことがないので最上位機種を使用する機会も多いが、ALX THETAは侮れないスピニングリールだ。


小森嗣彦


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