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イカの味覚と嗅覚について

イカの味覚と嗅覚

イカは目がいい!でもそれだけじゃない!

海にもぐって野生のイカに出会ったことがある方なら、イカがどれだけ特殊な生き物であるかがお分かりでしょう。皆さんもご存知のように、イカは無脊椎動物で、タコや甲イカなどと同じ「頭足(とうそく)動物」と呼ばれるグループに属しています。実はこの頭足動物は、一部の脊椎動物に負けないほどの優れた脳を持ち、また大変高い知覚能力を持った、まさに驚くべき動物なのです。

エギングアングラーの皆さんなら、イカの視力がとても優れていることはご存知でしょう。イカの顔を見ると、大きな2つの目がこちらを見返してきますから、それは一目瞭然です。しかし、あまり知られていないのは、イカが視力だけでなく、振動を検知する能力や聴覚、触角、そして非常に発達した嗅覚と味覚(科学用語では「化学受容」と呼ばれます)を持っている ということです。

実は昔から、科学者たちの間では、 「頭足動物は貝やカタツムリと同じ軟体動物ではあるが、機能面ではむしろ魚類に近い生き物である」 ということが知られていました。進化した軟体動物である頭足動物は、魚類によく似たさまざまな感覚を持っているのです。中でも、自分のまわりの化学的な環境をつねにモニターし続ける「化学受容能力」については、 イカ、タコ、甲イカは、なんと脊椎動物が持っているのと同じ、次の3つの感覚を持っています。 1つめは皮膚による一般的な化学感知能力、2つめは遠隔化学受容能力、そして3つめは接触による化学感知能力です。

イカが持つ驚くべき3つの化学受容能力

1つめの「皮膚による一般的な化学感知」とは、つまり「皮膚の感じやすさ」のことです。イカの皮膚は鋭い触覚を持っているだけでなく、全身にわたって、さまざまな化学的な刺激をとても敏感に感じ取ることができます。たとえば、イカが水中で弱酸性の物質に遭遇した場合、直ちに刺激物として検知し、すぐさまそれから逃れようとします。

さらに優れているのは、2つめの、イカが水に溶けた化学物質を「嗅覚」によって感じ取る能力です。どの種類のイカも、眼球の後ろ斜め下、イカが水を吐き出す「ろうと」の傍に嗅覚器官があります。この嗅覚器官は「遠隔化学受容」、すなわち、ある程度離れた位置にある物質の匂いを分析する能力を持っています。 イカの嗅覚は、敵から身を守るため、そして生殖のための性的な匂いを検知するためだけでなく、離れた所にいるエサを追跡して調べる、つまり捕食のためにも役立っています。 イカは、自分のエサとなる魚やエビなどの放つかすかな匂いに出会うと、ほんの一瞬でそれを検知することができるのです。 >

そして、頭足動物の持つ最も優れた化学受容能力は、3つめの「接触による化学感知能力」、つまり「味覚」です。 イカ、タコ、甲イカの味覚受容器官は、主に腕や口の周りに並んでいる吸盤に備わっています。 イカを初めとする頭足動物の味覚は非常に強く、たとえばタコは、1つの吸盤に味覚受容器官をなんと約1万個も持っています。1つの腕に200個以上の吸盤がありますから、成長した1匹のタコには約1,600万個もの受容器官があるということになります。イカは、タコと生態が違うため、タコよりはひとつの吸盤あたりの味覚受容器官の数は少なく、吸盤の数も少ないですが、それでも非常に精密な味覚を持っていることは確かです。

触腕で「触れて味わう」イカには ルアーのニオイがとても重要!

このように、鋭敏な触角と味覚が組み合わさり、「触れて味わう」という特有の能力によって、頭足動物は捕まえたエサの感触や味を分析することができるのです。たとえば、頭足動物は、基本的な味覚である「甘い」「すっぱい」「苦い」味をつけた物質を識別することが簡単にできますし、中には、 人間が感知できる濃度の10~1,000倍に薄めた状態でも、味の違いが分かる 頭足動物もいるのです。この優れた「触れて味わう」感覚によって、イカなどの頭足動物は、捕らえた物体のほんのわずかな違いさえも識別していると考えられるのです。

イカ釣りにおいて、アトラクタントや匂いつきルアーが非常に重要であるのは、これが理由です。イカの脳の中では、嗅覚による感覚情報と、視覚による情報が統合されていますから、イカは匂いつきと匂いなしのベイトを簡単に見分けることができます。 イカの好きな匂いがついていないルアーは、それがついているルアーに比べて、化学的にも視覚的にも魅力的ではないのです。エサの匂いは、イカを近くまで引き寄せる力があります。また、 イカのほうでも、視覚によって感知した物体がエサなのかどうかを、匂いによって見極めているのです。

同じように、イカが腕で捕らえた「エサ」を口に運ぶ時にも、匂いが判断材料となります。イカは、捕まえた物体を即座に「味覚テスト」にかけ、それが食べ物なのか、食べ物ではないのかを判断します。物体に味がなかったり、嫌いな味がついていたりすると、イカは「これは食べ物ではない」と判断し、すぐに開放しようとします。 エギングで、フッキングする前にイカを逃がしてしまうのは、そのルアーにイカが求めていたおいしそうな匂いがついてなかったせいなのです。

もし今度、海にもぐってイカに出会うことがあったら、そばに寄って、イカの感覚がどんなものなのかを想像してみてください。イカはその時、あなたを眼で見ているだけではなく、おそらくあなたの匂いを調べているでしょう。もっと近づいてみたら、腕を伸ばしてあなたの味も確かめようとするかもしれませんよ!