ABUの歴史を振り返っていろいろな資料を見ていると、時折この美しい女性の写真が登場します。
この女性は誰かというと、シルヴィア・レナーテ(Silvia Renate)
そう、現スウェーデン王妃のシルヴィア王妃です。
この写真は1976年にスウェーデン国王カール16世グスタフとシルヴィア王妃がフィンランド国王とともにレン・ボーストロームの一家を訪れ、 ABU社のそばを流れるモラム川でマス釣りを楽しんだ時のものです。
写真左から
現スウェーデン国王カール16世グスタフ
現スウェーデン王妃シルヴィア
フィンランド国王
1976年に婚約を発表したカール16世グスタフとシルヴィア妃。
婚約したばかりの二人の釣行デートにはたくさんのマスコミが取材に押し寄せました。
ちょうど日本の皇太子が皇后美智子妃と婚約してからマスコミに追いかけられる日々が続いたのと同じような状況だったのかもしれません。
当時の貴重なフィルムが残っていますが、すごいメディアの数です。
ABUは1951年にスウェーデン王室御用達の名誉に授かり、リールにスウェーデン王室の徽章をあしらうことを許されました。それ以来、ABUはスウェーデン国王やその婚約者など、多くの著名ゲストを迎えて釣りをアレンジすることが多かったようです。また、1970年代にはABUは世界中に販路を広げ、世界有数の釣り具メーカーになっていました。
釣りをするシルヴィア王妃の手元を見ると、おそらく『カーディナル44』を使っているように見えます。
動画の中でかなりの大型のマスを釣りあげたシルヴィア妃。確かにこのサイズだと『カーディナル44』が最適な感じがしますね。
『カーディナル33』が発売されたのが1975年ですから、1976年のこの釣行の時期はABU社はスピニングリールにも非常に力を入れていたことが窺えます。その後、日本においても長く愛される傑作『カーディナル』シリーズのラインナップが多く生み出されたのがちょうどこの頃のようです。
この釣行が行われたのはABU社のそばを流れる『モラム川』
この川はABUにとってとても大きな存在です。
カール、イエテ、レンと三代続くABUの社長がしばしば釣りをした場所でもあり、ABU黎明期の製品テストはこの川で行われました。ABUの初期の製品は、そのほとんどが、モラム川での釣りを基準に生み出されていったと言っても良いかもしれません。
いまでもピュア・フィッシング・ジャパンの開発チームは全国各地のフィールドで釣具のテストを行いながら製品開発をしていますが、釣り具は対象魚やフィールドの環境で最善の仕様がそれぞれ異なります。
様々な表情を持つモラム川の流れがABUの製品開発においての多様性を支えてきたのだと感じます。
最後にご紹介するのがこちらのユニークな写真
ABU三代目社長のレンがシルヴィア王妃の釣った魚をランディングし、無事魚をキャッチできた喜びでハグをする二人。
レンはこの光景を見た同僚から『おい、王妃にハグなんかして大丈夫なのか!?』と聞かれたようですが
『王妃がハグしてきたんだよ!』と返したようです。
シルヴィア王妃の愛嬌に満ちた優しさを物語る一枚でもあるかもしれませんね。
写真はスヴァングスタにあるABUミュージアムに額縁に入れて飾られているようです。
国王カール16世グスタフとスウェーデン王妃シルヴィア