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北山睦のTOP50観戦記2017 第3戦 七色ダム

こんにちは!

元TOP50の北山です。

私が元々戦っていた視点で日本のトップカテゴリーをご紹介するこのレポートも今回が3回目。

現役選手も全5戦の中で佳境を迎えるこの第3戦。そろそろ年間争いも少し道筋が見えてくる頃。 選手全員にとっても非常に大事な一戦になる事は間違いない。

◆七色ダムとは

試合会場は、奈良県七色ダム。

バスフィッシングを観光資源として公にしている日本でも数少ない自治体である奈良県下北山村に存在するこの七色ダムは紀伊半島特有のクリアウォーターリザーバーだ。水域はおおよそ、1/2が奈良県、1/4が和歌山県、1/4が三重県とこの地域独特の境界線上にある。水面標高はおよそ188mと”ハイランドリザーバー”とまでは行かないものの、オーバーハングや水中立木が続いて深い山奥独特の神秘的な雰囲気に包まれている。

池原ダムと小森ダムに挟まれた調整池として存在するこの貯水池は、年間を通して、水位変動が1mほどの範囲にとどまるため、極めて安定した水位となっているのが特徴だ。

アベレージサイズは25~30cm、通常のTOP50の試合フォーマットである「25cm以上5匹」であれば、300g×5本でおよそ1500gというのがベースとなるハズである。

ただし、バスの密度は極めて濃いので、数は延々と釣れ続くことが多い。

また、池原ダムと同じ北山川水系であるため、時として60cmオーバーが飛び出す。

あまり知られていないが、2010年4月には71cm、9140gというルアーによる日本記録が出ているのもこの七色ダムだ。(2馬力にレンタルボートのお客さんが釣り上げているのが、これまた夢のあるハナシだ!)

実は、私も冬場に通い込むことが多いのだが、実はバスが多すぎて試合でなかなかサイズアップするのに苦労するのもこの七色ダムの特徴だ。

私が過去2戦経験したTOP50七色戦はいずれも予選落ち。ベースウェイトに毎日1本のキッカーが入って予選通過、3本以上入れば上位という試合になるのは毎度の事。奇しくも、湖の季節的なコンディションは第2戦の弥栄ダムと同じ、ミッド~アーリーサマーとなっており選手としてはどの季節感を狙うか悩ましいところだろう。

しかしながら、北山川水系の特徴とも言えるフロリダスーパーラージマウスバスはデカいヤツほどスポーニングが遅いというのも特徴なので、必ずキッカーを入れて来る選手は出てくるハズだ。

ピュアフィッシングチームの第2戦までの年間順位を見てみよう。

第2戦で優勝した青木大介選手がトップと9ポイント差の5位。

小森嗣彦選手が21位。澳原潤選手が43位、河辺裕和選手が44位と並ぶ。

◆”サイトフィッシャー”vs”ブラインダーによるサイトフィッシング”

青木プロは第2戦と同じような季節感という事がアドバンテージではあるが、昨年同時期の七色戦で優勝した小森選手もプリプラから何か掴んでいる様子だった。

先ほども書いたが、この湖はキッカーを入れるのが非常に難しい。必然的にサイトフィッシングをせざるを得ないのだが、ブラインドの釣りを主力とする小森選手も昨年完全にサイトフィッシングに開眼してしまったようだ。

実は、昨年の試合には私も出ていたのだが、小森選手はサイト中心の展開をして来ないと思い込んでいた。が…フタを開けてみれば、サイト中心の展開で初日にして一人だけ成層圏を脱出して宇宙に飛び出してしまった。あまりのウェイト差に、二日目の朝のミーティング時には他の選手から「今日は休んでていいよ~」なんて冗談も飛び出すくらいだった。

それ故に、元来サイトフィッシングを得意とする青木選手と小森選手の今回の戦いには注目が集まるのは必然だった。

◆本戦DAY2

私は二日目の朝早くに現地入り。

まだ薄暗い中で河辺選手が早くも桟橋で準備をしていた。河辺選手はプリプラ、直前プラ、試合本番といつも誰よりも早く準備を開始する。これがきっと長年培って身に着いたリズムなのだろう。

初日の時点での順位は次の通り。

3位青木選手、25g差で4位に小森選手が並ぶ。そして、19位に澳原選手、20位に今年初の予選通過を目指す幕田選手が続く。河辺選手は36位と一見出遅れたように見えるが、何やら朝から自信に満ちているような空気を感じた。

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二日目のミーティングが開始される。この日で3日目出場かどうかが決まる。

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初日、良い位置に付けた小森嗣彦。

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二日目から初日のリリースフィッシュのための禁止エリアが設けられる。ルール変更がある場合もあるので、朝のミーティングは非常に重要なのだ。

◆DAY2ウェイイン~予選通過発表

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TOP50戦を現地に見に行ったことがある人はこのシーンを見たことがあるはず。TOP50の場合、全選手が時間いっぱいまで釣りをするため、帰着時は一斉に帰ってくる。誰一人最後の最後まで絶対に諦めないのがTOP50というカテゴリ。

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Fantasistaのウェイイン一番目は澳原選手。REGISTA FNRS-67ULによるダウンショットがメインパターンだった。

果たして…

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苦い表情の幕田選手。初日の順位を活かせるのか?

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最近分かって来たのだが(6年間も同じ試合に出てて今頃?!)、青木選手のこの表情は「やり切ったぜ」という意味。

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案の定、ナイスフィッシュ!

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実はプラの段階で、釣れる方法は掴んでいたという河辺選手。初日の反省からアジャストして予選突破に成功!

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小森選手のウェイイン。表情から今一つ読み取れないのだが…

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やはりナイスフィッシュを持ち込んでいた!

そして、間もなく予選通過発表。TOP50はポイント制の二日間の予選で、上位30名のみが3日目の”晴れ舞台”に臨むことが出来る。

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予選順位発表。

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1位青木選手、2位小森選手、25位河辺選手の3名が予選通過。

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初日19位だった澳原選手は惜しくも32位でフィニッシュ。澳原選手は、プラから「これだ!」という感触が余り無かったらしい。ただ、予選落ちとは言え、30位台の上位での予選落ちは次の試合に何とか繋がる順位。本人が”課題”としていたリザーバー戦はこれで終わり、これからホームとも言える桧原湖、霞ヶ浦水系と続くので残り2戦は期待大。

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予選通過時から重量制に変わるのだが、この二人の重量差は何と5gしかない!

そして、後から驚きの事実が発覚するのだが…

二日目は30cmほど水位が急減水した。

ウェイインに訪れる選手が「全然釣れなくなった」と口々に話していたが、恐らくこの減水が影響している。3日目にどんな影響が出るのか?

◆決勝!

決勝日の朝。

前日夕方の急激な減水はそのままの水位を保っていた。そう、この七色ダムの放水ルーティーンは日曜日は基本的に「減水日」となっていて、月曜~土曜よりも明らかにバスがスプーキーになる。つまりは、日曜日は水位的に釣果が伸びにくいのが特徴だ。更に、水が減ったため赤潮はより濃くなっていた。予選は僅か5g差という僅差(ほぼ水滴による差?)で首位と2位という青木プロと小森プロはどんな釣りを展開したのだろうか?

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決勝の朝のミーティング。決勝日のミーティングは簡単な注意事項が追加されるだけですぐに終わる。予選よりもウェイイン時間が2時間も早いため、なるべく長く試合時間を取るためだ

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過去2戦と同様、決勝日は釣りビジョンさんによる生中継がある。解説は沢村プロ。湖上の中継は電波状況の都合上、あまり行われなかったので、若手プロを中心にインタビューするという放送となったようだ。

この決勝は完全重量制となる。したがって、ストレートな言い方をすると「いくらリードしていてもセーフティーリードとは言えない」というのが上位選手の感じだろう。極端な話、予選30位で通過したとしても最終日に10kg釣ってきたら大逆転勝利もあり得る。実際、季節的にもまだフロリダ系の魚がスポーニングを意識しており、ビッグママを複数釣ってきたら「それは無理」とは言い切れない状況だからだ。それが、この季節のトーナメントの読み切れないところ。選手は兎に角、自分の釣って来れるマックスウェイトを搾り出すしかなのだ。

◆まさかの結末!

上位2名は僅か5g差。3位の小林プロまでおよそ1600g差。三日目も七色ダムの電波状況により、オブザーバーのツイートが全く無く、結果はウェイインまで全く分からなかった。

そして13:00、いよいよウェイイン開始。

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Fantasistaチームのトップバッターは河辺プロ。

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三日目は3kg越えの3016g。

河辺プロは、New Fantasista YABAI! FNS-62SULSを駆使して自作の「虫系ノーシンカーワーム」を3日間本流中流域で使い続けたとのこと。初日、二日目に自信に満ちた空気を感じたのは「食わせるまでは合っている」という二日目の言葉通り釣り方のベースが出来ていたためらしい。初日こそ出遅れたものの、初日のミスからアプローチ、フックセット、フッキングや取り込みの細かい所作などを改善していき、三日目に向けてミスを減らしていった。

実は、この試合で3日目に向けて重量を伸ばしていった選手は僅か2名しか居ない。6位の市村プロ、そして、17位でフィニッシュした河辺プロのみ。まさに”調整上手”という感じ。こういう事が出来た試合は、本人には悔しさは同居しつつも充実感はあるため、次の試合に繋がる事が多い。桧原湖に期待!

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一方、5g差のこの二人はというと…

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先に小森プロのウェイイン。結果は2336g。

Fantasista STUDIOUS FNS-60ULSⅢによるネコリグを中心にサイトフィッシングで組み立てた。このネコリグによるサイトフィッシングには実は非常に重要なキモがある。このキモは基本的には「動かさない」ことなのではあるが、それを実現するのにはこのFNS-60ULSⅢは非常に都合が良い。

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青木プロは2880g。

二人ともにウェイトを伸ばすことは出来なかった。ただ、これでも七色のアベレージよりは全然上だ。先ほど二日目のところに書いた「驚きの事実」なのだが、この二人、実は釣り方が全く同じだったのだ!二人ともメインはネコリグによるサイトフィッシング。そして、使ったワームもストレート系という点では同じ。TOP50選手において、選手間で釣り方の情報を共有するということはほぼ無い。それは同じチーム内でもほぼあり得ない。狭い会場で試合をするので、選手は情報統制に非常に気を遣うのだが、今回は2人の”釣りウマ”がプラからあれこれトライして煮詰めて行った結果、偶然同じようなところに辿り着いたようだ。

エリアのバッティングこそあまり無かったようだが(七色は試合エリアが狭いので、たとえ被っていても先行者が見えたらあまりカットインしたりしない。カットインする場合は本気で相手のクビを獲りに行く時だ)、それでも釣り方やアプローチがそこまで似ていれば、二日目までの僅差は納得できるだろう。そして、三日目に共にウェイトが落ち着いてしまうというのも、必然だったのかもしれない。

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青木プロのボートに置かれた虫系メソッドのタックル。前回の弥栄戦で活躍した”提灯釣り”は今回はあまり出番が無かったそうだ。

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あれほど強力とみられていた”提灯”を青木プロが封印したということは余程、ネコリグの方が効くと判断したのだろう。ネコリグに使用したのロッドはFantasista Deez FDNS-60UL-TZ。これはまだプロトの時点の型番のようだ。

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ホットシート。決勝のウェイインは上位者が”ホットシート”に座って、次の選手が重量を上回ればホットシートを交代していく。

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実は二日目が終わった時点で「明日のネタもある」という意味ありげな言葉を残していった3位の小林選手。宣言通り、三日目にビッグママをウェイインして1600g差をひっくり返して優勝をかっさらって行った。見事な逆転満塁ホームラン。ハイレベルな戦いを繰り広げる青木・小森の優勝争いを信じて疑わなかった人も多かったのではないだろうか?

表彰式を前に土砂降りの雨となり、この天気同様のFantasista2名にとっては厳しい結果となってしまったが、これがフロリダ系のビッグバスが入っている七色ダムの怖いところだと感じると同時に、七色ダムの持つポテンシャルを改めて認識させてくれた。

◆第4戦の展望

青木選手と小森選手にとっては”まさか”の結末で終わった七色戦。TOP50もこれで折り返しの第3戦が終了。大半の選手はこれくらいの時期から、「翌年の身の振り方」を考えるようになる。つまりは、現在の成績を鑑みながら残り2戦をどう戦うかを考える段階にある。下位の選手はTOP50残留を目指して全力で勝ちを目指す(常に全力ではあるが、ギャンブル的要素が少し強くなる)

上位の選手はそれぞれが年間を獲りに行くべく、こちらもさらにフルスロットルになる。年間の道筋が少し見えたこのあたりから、上位も下位もガチンコ度がさらにヒートアップする。そして、魚の季節的にも9月上旬の桧原湖は釣りのバリエーションが非常に多く、ありとあらゆるメソッドが展開できる。桧原湖を準ホームとする小森選手、澳原選手はもちろんのこと、スモールマウスのあらゆる経験値が高いFantasistaの4名が今回のようなハイレベルな戦いを展開することにご期待ください!

2017.8.24