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北山睦のTOP50観戦記2017 第2戦 弥栄ダム

こんにちは、元TOP50の北山です。

TOP50シリーズのリアルをお届けするレポートも今回で2回目。

初戦の遠賀川で上位に少し水を開けられた感じの4人のFantasistaたち。今回の舞台は広島県の弥栄ダム。 エンジンが使えないエレキのみのフォーマットはおよそ10年振りとなる。

◆弥栄ダムとエレキ戦

TOP50という試合は、試合形式の面でも多岐にわたる。ハイランドレイク、リザーバー、広いフラットレイク、川…バスボートを使用する試合を中心に、馬力規制のあるエンジン戦、エレクトリックモーターのみを使用できるエレキ戦。エレキ戦は戦略がボートセッティングに大いに依存するため、装備の面から既に試合が始まっていると言っても過言ではない。

今回の舞台となるこの弥栄ダム、私は過去6年での試合経験は無いので、1日だけ小森プロのプリプラクティスに同行してみた。まず、筋が大きく分けて4本あり、エレキオンリーの試合としてはかなり広め。違う筋のバックウォーターへ移動するにしても、バッテリーの容量と距離からすると行けてもせいぜい2ヶ所。ボートの性能がかなり左右する。

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弥栄ダムに到着して最初に見つけたのは小森選手。会場から一番近い筋のバックォーター手前のストレッチ。

ご覧の様に水質的に亀山ダムと似ているため、亀山をホームにしている小森選手が釣りをしていても違和感がない。ステインなので「サイトが出来ないか?」と言われるとシャローレンジであれば見えないことも無い。バックウォーターはサイトが可能ではあるが、どこもスタート地点からはそれなりに時間が掛かる。

特に、メインとなる筋(小瀬川)はスタート地点から全開でおよそ30~40分は掛かる。しかしながら、バスは他のリザーバーに比べるとかなり濃く、バックウォーターでない場所でもそれなりに釣りになる。アベレージサイズは300~450gと言ったところだが、サイトフィッシング以外で釣る場合、いかにしてサイズアップを図るかが大きなテーマになる。

また、各筋にそれぞれ、ロードベッド、屋敷跡、旧橋脚跡などのストラクチャーや要素が揃っており、決してバックウォーター勝負でなくてもサイズアップを図る要素は十分にありそう。ダムについて調べてみると、治水、発電の多目的ダムでありながら発電はオマケ程度。必然的に通常の放水量は少なく、ほぼ一定の水位で保たれる。放水規模が小さいという事は、カレントを発生する要素が少なそうに見えるのだが、湖各所に”銀玉(ぎんだま)”と呼ばれる強力な攪拌装置があるためにバックウォーターまで行かなくとも水の動きが発生する要素がある。これが、中間部でもサイズの良いバスが見えるこの湖の特徴と言えるかもしれない。

Fantasista4人の初戦の成績は青木、澳原、小森、河辺の順でそれぞれ、20位、24位、38位、40位で迎えている。それぞれどのような戦略を取ったのか?

◆予選とリミットメイクの重要性

小森プロとのプリプラクティス同船時に感じた湖の感想としては、バスの密度はかなり濃いと感じた。しかしながら、サイズ的には250~450gくらいが大半でビッグバスをキャッチするには何かをしないと獲れそうにない。さらに、エレキオンリーの試合というのは、エレキから発生するノイズ(不連続なオンオフをバスは嫌う)や、ショアラインを流すことが増え、バスへのプレッシャーはエンジンが使えるフィールドより格段に高くなる。

実際、私がホームとする三瀬谷なんかもトーナメント当日はレンジが少し下がる傾向にある。初日は現地に入ることが出来なかったが、初日のリザルトを見て驚いた。何と、2名が6kg台。そして、13位でも4kg以上という釣れっぷりだった。

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初日、ホールショットを取ったのは青木大介。帰着時のボートを岸に着けるシーンだが、自信があるような空気だったのが印象的だ。

季節的な事を考えると、ミッドスポーン~ポスト、アーリーサマー(アフター回復と呼ばれるような活発なヤツ)が混在すと思うのだが、もちろん、ミッドスポーンのバスを中心に組み立てている選手は二日目以降が苦しくなるはずだ。

一見すると、初日の結果だけではリミットメイク率63%程度と釣れているようには見えるが、二日目からは供給が減って苦しくなる選手が出てくるはず。結果、三日間安定してリミットメイク出来るパターンを持ってくることがとても重要となる。

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二日目の検量シーン。予想通り、リミットメイク率は半分以下まで落ちた。

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そんな中、「リミットメイクは楽勝だった」という選手が居る。河辺選手だ。

河辺選手は二日間ともあまり季節を意識せずにダウンショットでひたすら釣り、デカいバスが見えたらサイトでアプローチするという作戦だった。直前プラクティスでもアベレージサイズは難なく釣れたそう。ちなみに、他の選手からは「なかなか釣れない」という声が多かったところを見ると、河辺選手には”釣れるリズム”が見つかっていたということだ。

スロープから左の筋の上流でFantasista FTS YABAI FNS-62SULSに2.7gと少し重めのダウンショットでバンクに落とし、丁寧に探っていって試合中も釣りまくったそうだ。ただ、不思議なことに「デカイのに出会う」という事が全くなかったらしい。「不思議と全く見えなかったんだよね」とは河辺選手の言葉。

初日2604gで32位、二日目2534gで28位と健闘したものの、32位という惜しい順位での予選敗退となってしまったが、試合でのリミットメイク力は発揮された。これは次の七色戦でも絶対に活きて来るはずだ。

通常、季節的な事を考えるとポストスポーンなども含め、表層~シャロー中心の組み立てを考えるところを、河辺選手はそこに拘らない戦略だったのがかなり印象的だった。

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そこに対して、若干アプローチの方法が違ったのが小森嗣彦。

リザーバーという事もあり、サイトフィッシングをハナから念頭に置いていた。そして、サイトでもターゲットとしていたのはミッドスポーンのバスでは無く、スポーニングから回復したバス、つまり”動けるバス”だ。

Fantasista STUDIOUS FSNC-65M MGSにスピナーベイトをセットし、スピナーベイトを追って出て来たバスに対してサイトフィッシングでアプローチして釣っていった。後述する青木大介と”ネタ”こそ違うものの手法的にはほぼ同じだった。ペース良く釣っていき、河辺選手よりも一回りグレードの高いリミットメイクを実現した。が、誤算として挙げるならばキッカーに限ってミスをしてしまったという点。それは悔やまれるが、それも含めてトーナメント。

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初日、二日目ともに安定して3kg以上釣り、まだまだ上位を狙える決勝の朝の様子。自分の釣りが出来ているという自信が伝わってくる。

小森選手は初日から22位→13位→12位と単日での順位を上げ、最終的には12位入賞となった。

先ほど書いたが、この時期は選手によって狙うバスの種類(季節感)が違う。そして、それをある程度固定するか、柔軟にそれぞれの季節感のバスを釣るかによって結果が随分と変わる。それがこの季節の一番難しいところ。どちらも盤石なパターンを持っていないとリミットメイクどころか、1本釣るのも厳しくなってしまう。

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その苦渋を味わったのはトータル47位で終わってしまった澳原潤。

実は、澳原選手も釣り自体は優勝した青木選手とほぼ同じだった。Fantasista REGISTA FRNS-67UL MGSを使い、虫パターンとピクピクでポストのバスを中心に狙って行った。

では、優勝した青木選手と何故10kg以上も差が離れてしまったのか?実際にプラクティスの段階ではそれなりに釣れていたようだ。季節的なメソッドも必然的にそういった表層中心の釣りが基本になる。しかしながら、本戦が始まると初日からかなり苦戦した。「出ては来るけど食わない」というもどかしい時間が続いたようだ。

実際、バスが出てきて食う寸前まで行くだけにパターンとしては強力なようだが、そこから何かが足りない。しかしながら、出て来るだけにやめて違うパタ―ンにシフトする訳にも行かない。これは、実際に湖に出ている選手なら誰しもこういう悩みに直面するシーンは出てくる。恐らく、他の選手も同じような釣りを展開し、苦戦を強いられたのは容易に想像できる。

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そしてその答えを一発回答で出してきたのが優勝した青木大介だった。

誰もが納得の答えを。

◆「バスフィッシングはスポーツだ」という事を見せつけた青木大介の優勝

すでにNBC NEWSのサイトで詳しい釣り方をご覧の方も居ると思うが、ここで改めてその内容を見てみたい。

戦略的にはプロップベイトでバスを見つけていき、見つけたバスを虫パターンで釣っていた。これだけ聞くと、「他のポストスポーンのバスを狙っていた選手と何が違うの?」と思われるだろう。 澳原選手や小森選手も同じような種類の釣り方を展開していた。

が、重要な要素が一つだけ違っていた。青木選手はBerkleyのマイクロPEというライムカラーの視認性の良いライトゲーム専用PEラインを使っていた。

違うのはラインの種類そのものではなく、そのラインの使い方だ。

お立ち台での話の通り、”提灯釣り(ちょうちんづり”と呼ばれる手法を一貫して使っていた。これは水面に突き出た木の枝や植物にラインを薄く引っ掛けて一点で虫ルアーを動かし、バスを水面に誘い出す釣り方。

通常の虫パターンやピクピクなどと大きく違うのは「ラインの存在感がほぼゼロになる」ということである。

これには極めて高いキャスト精度が要求される。何せ、ベストのポジションに虫ワームを送り込むためには一投で枝にラインを薄掛けして虫ワームを水面にゆっくり落とさなければならない。通常のキャストは目標位置が水面なのに対して、枝などの空中が目標となる、極めて神経を使う作業だ。私もTOP50に出ていて見たことがあるが、青木選手のキャスト精度は秀逸だ。

彼のキャスト精度は長年の釣りの中で鍛錬されたものだろうが、小さいフォームでルアーを本当に正確に送り込む。バスフィッシングが”単なる釣り”と大きく違い、「スポーツ」であるという点はここにもあると思う。

例えるなら、クレー射撃やゴルフとほぼ同類だ。提灯釣りは、フィールドによって生えている植物などの違いから、どれくらいラインを掛ければ良いか?どのようなロッドを選択すれば良いか?などをプラクティスの段階から随分煮詰めていく必要があるが、今回の試合に関しては、まさに状況にベストマッチのロッドがあった。

それがFantasista Deez FDNS-66ML MGS "Finesse MAX"だ。一言で表すと、PEラインによる虫パターン専用のパワーフィネスロッド。

選択したMicro PEが0.8号である事を見ると、多少植物に深くラインが乗ってしまっていたとしてもバスを引き出すことは出来たのではないだろうか。また、枝を介してフッキングするためロッドにもそれなりの硬さが求められるが、まさにベストバランスだ。しかし、道具だけでは優勝は出来ない。

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やはり、集中力を要する精密なキャストを3日間耐え続けたことによる青木大介のメンタルによる勝利だ。他の選手も同じような釣りをしたにもかかわらず、勝てたのは「キャスト精度」という言葉にするとほんの少しの差だ。

しかし、その差はとてつもなく大きな物である。

キャストというのはそれだけ差を付けてしまう可能性を秘めたものだ。皆さんもキャスト精度を上げる練習をしてみたらもっと釣果が上がるハズだ。スポーツ故に「動作の練習」が必要だったりする。今回の優勝はまさにそれを証明している。

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さて、その青木選手、実はTOP50では2011年の旭川ダム戦以来6年振りの優勝になるのだそうだ。いろんなカテゴリで勝っているイメージがあるので意外な感じだが、TOP50の年間レースでは大きなアドバンテージになりそうだ。

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会場に出展したAbu Garcia号。沢山の方にご来場いただきまして、ありがとうございました!

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毎試合会場にはたくさんのブースが出展されます。特に最終日は盛り上がりますので、ぜひ見に来て生で空気を感じてほしいですね。

次の試合は7月7~9日に奈良県の七色ダムで開催される。昨年の七色戦では小森選手が優勝しているので、大いに期待が持てるのだが、トーナメントでは「勝つ事で不利になる」という事が多い。勝つことによって、そのメソッドが徹底して研究されるためだ。

それを跳ね除けて再び勝つのか?年間争いもFantasistaの4選手にとっては正念場。

ご期待ください!

2017.8.17