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北山睦のTOP50観戦記2017 第1戦 遠賀川

こんにちは、昨年までTOP50に参戦していた北山です。 今年は元TOP50という視点でFantasistaの4名のプロにフォーカスを当ててTOP50のリアルをお伝えしていきます。

まずTOP50というカテゴリーはどんな世界なんでしょう?皆さん興味ありますよね?

例えば、三日間に渡っての複数日の試合です。「運」という要素が極力排除されていて、マグレや小手先のテクニックだけではとても上位には行けません。フィールドやバスの事、バスの餌の事、選手の動きなどバス以外の事も良く理解した上でアジャストしていく能力が求められます。

また、公式プラクティスは本番直前に2日間設定されているため、本番初日は実質”3日目”という感覚になるのも特徴です。もちろん、公式プラクティスの時点で簡単に釣れる「普通のバス」から釣れなくなっていきますので、厳しい状況なのは当たり前。

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(※写真はNBCNEWSよりお借りしました)

毎年ですが、第1戦の開会式はとても張りつめた空気に。

この時はまだ年間順位による順位差は無く、約50名が同じスタートラインという状態。2戦目以降、年間順位を意識して”初戦とは違った意識”が入って来た上での試合展開になりますが、初戦は”守り”や”何とかしのぐ”という意識は全く無く、スロットル全開で釣っていくことになります。その点で見ている側からするとこの初戦が一番おもしろい。そして、選手側の緊張もピークなります。

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初日のスタートを待つ青木プロ。緊張感が伝わってくる1枚。

選手側の立場に立って考えてみると、緊張と同時に「釣る」という事に一番集中することが出来るのもこの初戦だったりします。では、その第1戦の舞台の福岡県中間市にある遠賀川とはどんなところなのか?

詳しくは、Basser誌6月号の「小森ノート」に書かれていますが、簡単に言えば上流は堰、下流も堰で言わば”ちょっと長めのプール”のようなフィールド。水門の開閉によって、人為的なカレントが出来ます。大きく3つのセクションに分かれており、比較的狭くて地形やショアラインに変化が多い上流、一見するとショアラインは護岸だけなのに真ん中には昔の石垣の護岸を伴った河川跡が沈む中流、堆砂して中流よりも水中の変化も薄まった下流、という構成です。

見える物は非常に少なく、水中のスポットを撃つ釣りなので、テクニカルなキャストはそれほど必要なフィールドではありませんが、ボトムを取る、アクションを付ける、掛けたバスを取り込むというロッドに求められる超基本的な部分で差が出るフィールドでもあります。

私もこの会場で2試合経験がありますが、南から北に流れているフィールドというのはほとんど経験が無く、時間の経過によって出来るシェードの向きなどが普段のフィールドと違って、そういう感覚的な部分でもやりにくかった覚えがあります。

次に気になるのは選手が感じたであろうバスの季節感。 TOP50カテゴリともなると、プラクティスの時点である程度、どの選手がどんな季節感のバスを狙っているかがポジションと動きで分かってきます。 それを勘案してようやく「試合のカタチ」となる訳ですが、今回はどの選手もプリプラと直前プラではサンプル(釣果)がかなり少なくて苦労したのではないでしょうか?

バスの季節感を掴む事によって、釣るポイントやボートポジション、またタックルバランスが変わってくる訳ですが、何せ季節は春。 1本筋の川なので水温変化も激しく、またスポーニングが絡むとバスがなおの事ナーバスになって口を使いにくくなります。特に遠賀川の場合、早春はまだ北風が強く、この北風が下流の方からカレントを阻む向きに吹き込んで水温を下げます。これが余計にバスのポジションを掴みにくくする原因で、SNSなどで流れて来る情報でも大半の選手がプラから苦戦している様子。

それゆえ、選手のほぼ全員が「勝つためにはプリスポーンのメス」というテーマで集約されていたのは容易に想像できます。

そして迎えたTOP 50第1戦の初日。

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シャローマンでREGISTA澳原プロにはオブザーバーが乗船。

少し沖のブレイクに浮いたメスをフットボールとクランキングで3本釣って初日は3位。  フットボールにはREGISTA FRC-66M、クランキングにはスタンダードFantasistaのFC-611MXG-FM MGSを使用。 特にDEX SC-55Fをはじめ、クランキングで意識したのは、「引きたいレンジよりも少し深めに潜るクランクベイトを使用する」ということだったそうです。

ブレイク近くのボトムを引きながら、たまにある高さのある石などでハネさせて浮いてるメスを釣るということです。

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Fantasista STUDIOUS FNS-60XULSという超ライトリグ向けのロッドを使い、ボトムに確実に置いておく作戦などで小森プロは2本で15位に付けます。 プリスポーンのメスをつるにあたって、「徹底的に動かさない」というのも有効な手の一つです。 小森プロはプリプラクティスからある程度釣れていたようですが、直前に状況はかなり変わってしまった様子。特に流れによってリグが動いてしまうというのは悩みの一つだったかもしれません。

早春は季節が一進一退のため、”退”のタイミングになってしまうとあっと言う間にキツくなります。

初日にも関わらず誰一人も5本のバッグリミットを揃えてくる人は居ない、早春のような”搾り出し試合”になりました。

そしてDAY2。

ウェイインから見ると、やはり状況が好転することはなく、またもやリミットメイク無し。

河辺プロはYABAI FNS-62SULS "FINESSE PERFORMER"を使ったジグヘッドワッキーを展開し、二日目単日17位となる2本1446gをキャッチ。

初日はYABAIの名竿と言われた69MHのリニューアル版、YABAI FNC-69MHを使ってフットボールを1日やり切ったとのことでしたが、二日目は釣り方を弱めてアジャストし、2本のキャッチに至ったようです。 「押し通すべきなのか?変えるべきなのか?」というのは1本目が遠い試合では、多くの選手を悩ませます。押しどころと引きどころの見切りが付きにくい。

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河辺プロほどの経験豊かなプロでも判断が付きにくい試合だったのではないでしょうか。しかしながら、初日に押し通してみることによってこの二日目のバスがキャッチできたのではないかと思います。

後述しますが、ウィナーの思考と同じ「釣れないことによる切り替え」というのが展開を変えるきっかけにもなるのです。

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青木プロも少し掴んで同じく2本をキャッチし単日12位。こうなると、初日にどこかで切り替えてキーパー1本を釣ってきたことが大いに生きてきます。

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苦悩する澳原プロ。 初日に上位に付けた澳原プロと小森プロはまさかのノーフィッシュ。澳原プロは「二日目は何もなかった…」というコメントを残してくれましたが、初日上位の選手が二日目に繋ぐ事が出来ないというのも時間を追うごと季節感が変わってしまう春の特徴です。

こういう試合は”戦略”が極めて立てにくい。何せ、餌を食う行動に出ているバスの総数が少なく、それを50人で奪い合っているのだから。さらに時間経過とともにプレッシャーが加わり、ショートバイトになる事が選手を悩ませたのも簡単に想像できます。

ここで予選結果が確定。 予選はポイント制となっていて、「初日の順位ポイント(60点満点)」+「二日目の順位ポイント(60点満点)」+「重量ポイント」(二日間の合計重量で順位を出す。120点満点)の合計ポイントで順位が決まります。澳原プロは初日3位の貯金が効いて23位、青木プロが25位、小森プロが38位、河辺プロが40位で予選順位が確定。

決勝は3日間の総重量制になるので、実質澳原プロが16位、青木プロが28位での決勝進出となりました。

迎えた決勝。決勝は30位までの30名で行われます。

予選は15:00ウェイインとなっているのですが、決勝は13:00ウェイイン。

予選よりも2時間短いのですが、これが実際に選手の立場で考えると、本当にあっという間に終わってしまうという感覚です。本当に短い。リカバリーする時間が無いため、サイズ問わずに1本1本釣っていく感じになりますね。

リザルトは、青木プロが1本1158gをウェイイン、澳原プロがまさかのノーフィッシュ。シャローウォーターを得意とし、初日上位に付けた澳原プロがまさかの二日連続ノーフィッシュということからも分かるように、春のシャローフィールドは実に捉えにくい、そんな遠賀川の試合だったのではないでしょうか。

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青木プロが順位を上げて20位、澳原プロが24位という結果に。

普通に考えればほぼ全員が「プリスポーンのメスを釣ることが勝ちへの道」という共通認識で始まった試合。そして、季節的にもなかなか釣れないプリプラ~本番で「いかに毎日1本を搾り出すか?がテーマになる」ということもほとんどの選手の共通認識だったはずです。

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しかしながら、その中でも”勝つべくして勝った”のが優勝の市村直之プロでした。幸いにもその市村プロからお話を聞くことができましたが、要約すれば「王道と思われた釣りの裏側に別の王道があった」という事でしょうか。

”魚探戦争”とも言われる電子デバイスのハイテク化によって、ほぼ全選手が水中の地形やストラクチャーの位置や向き、サイズを完璧に把握しています。その上で必然的にプリスポーンのメスが付くであろう”高低差のあるもの”、特にブレイクや切り立ったストラクチャーなどに注目度が高まります。市村プロもそういったことを踏まえてプリプラから釣りをしたものの、公式プラまで全くと言っていいほど釣れなかったそうです。

プリプラは2名で敢行したそうですが、どういう訳か自分と全く違うアプローチをするバックシーターには何本かバスが釣れたとのこと。そのバックシーターの結果に着目し、自分の狙いどころをブレイクなどからフラット上にシフトしました。同じプリスポーンでも当然ながら、フラットの上を泳いで戻るバスも居る訳です。

先ほど、河辺プロの二日目の記述のように、「釣れなかったこと」による考え方の転換です。あとは、そういう個体を確実に獲るためにシャッド(トレブルフックのため)、スピニングタックル(風に左右されにくいため、アプローチの自由度が高く、バックラッシュも無い)、少し弱めのロッド(バラシ低減)という組み合わせで、特定の規模のシャローフラットのみを三日間狙い撃ちしたということです。

電子デバイスの発達によって注目しやすくなった要素をバッサリと捨て、昔からあるごくごくスタンダードな要素に目を付けた。お立ち台のインタビューを聞いていた選手ほぼ全員が納得の”芯の通った”内容だったのではないでしょうか。

そんな市村プロを追いかける形となった4名のファンタジスタたち。

次戦は梅雨時期のリザーバー、弥栄ダム。

数年ぶりのエレキオンリーの試合。そして遠賀川戦とは違い、季節的にはハイシーズンと言えます。果たしてどんな戦いになるのか?第2戦からも現地より生々しいレポートをお伝えしていきます。

4名のFantasitaの盛り返しにご期待ください! ※写真はNBCNEWSよりお借りしました。詳しいリザルト、上位のメソッドはそちらをご覧ください。

2017.8.17