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北山睦のTOP50観戦記2017 第4戦 桧原湖

こんにちは。元TOP50の北山です。

さて、今回は9月8日~10日に福島県の桧原湖で開催されたTOP50の第4戦をお届けします。

この試合の特徴は簡単に言えばシリーズ戦の中で唯一「スモールマウス戦」であるということ。

では、ラージマウスバスを対象とした試合と何が違うのか?

その辺をまじえながら書いていきます。

◆桧原湖という湖 1

ご覧の様に桧原湖は南北に長細い。

大きく分けて、会場のある早稲沢を含む「北部」、「馬の首」と呼ばれるバンクと岬で構成される中間部、月島周辺のハンプ群の「月島周辺部」、雄子沢周辺の「南部」という感じで大きく4つに分けられる。

この湖は、元々は川だったところへ磐梯山の噴火での噴石によって天然ダムが出来てしまい、それらがせき止められて出来た湖。なので、ところどころに水深30mからイッキに50cmまで盛り上がるような危険なハンプがあるので、ボートを走らせるにあたっては非常に気を遣う。

プリプラクティスの時点で、選手はこの地形変化の”調査”に大半の時間を費やす選手が多い。

「イカリ潟」エリアは競技エリア外となっているため、おおよそ上記の4エリアだけを調べればよいのではあるが、それでも広大だ。

ほんの小さなハンプが入れ食いになる場合もあれば、何てことないソフトボトムのフラットに僅かに顔を出しているハードボトムで入れ食いになる時もある。したがって、プリプラ期間の1週間はロクに竿も出さずにデッドスローでウロウロするという、一般アングラーにとっては不思議な光景を目にすることになる。

上の写真も作業中の画像だが、魚探で記録したデータは陸上に上がってパソコンで処理して地形を起こす。この際にデータの補正などを行って精密な湖底マップを作る。これをSDカードに落とし込んで魚探で表示させて本戦を迎えるのだ。極めて地味で時間の掛かる骨の折れる作業だが、これが後々効いてくる。私の場合も6年間でかなり精密な湖底マップが出来てきたが、試合でも何度となく助けられた。このような作業は天然湖では災害による地形変化も少なく、何年経っても使える意味のある作業となってくる。

スモールマウスがどれほど地形変化や”物”に依存するかと言うのかが解る話としてこんな話がある。

私がTOP50に在籍していた当時の前山プロの話だ。

フラットでやたら釣れるスポットを発見し、入れ食っていたのだが、最後に”何か”を引っ掛けてしまった。上げてくると、それは何と”アイスクリームのカップ”だったそうな。そしてそれからはピタッと釣れなくなってしまった…

桧原湖は公魚(わかさぎ)やエビといった餌が極めて豊富。そしてバスの密度もかなり高い。もちろん、ラージマウスバスも居る。しかしながら、その構成比は極めて少なく、「ヒバラージ」と呼ばれるほど希少なものだ。

私が出場していた昨年までは、このラージを釣ってくることが大きなアドバンテージとなった。なぜなら、スモールのアベレージが300~400gなのに対してラージマウスはキロアップと言った具合だったからだ。。ところが、今年はプリプラの時点から入ってくる情報では”妙な感じ”だった。今年のプリプラ期間は雨続きだったということもあるが、釣れているスモールマウスのアベレージがかなり大きいのだ。

確かに、昨年あたりでも「スモールがだんだんと大きくなってきているな」とは感じていた。私がTOP50参戦1年目の時は、予選を3位で突破して最終8位だったのだがその時は3日間それぞれ3kg釣ってこれば上位という状況だった。

しかし、近年ではそれでは無理だ。

さらに今年は毎日4kg釣って来ないと予選突破は難しいのでは?という釣れっぷり。どうやら、春先から水が多く水質が良かったことによるらしい。

スモールがそれだけ大型化することによって、リスキーなラージ狙いというのはさほど旨味を感じなくなったのでは無いだろうか?もちろん、ラージとスモールをウェイインする所謂「ミックスバッグ」はカッコイイのだが…

◆スモールマウスという魚

ラージマウスと同じサンフィッシュ科のバスには変わりは無い物の、ラージマウスバスとは全く性格的に全く違う。一言で言えば「トラウトに近い」と思ってもらえれば良いかなと。 回遊性が強く、気変わりも早い。

同じパターンが二日と続かず、風や光量の変化による状況変化がラージに比べて早い。言ってみれば「秒単位」でどんどん変化していく。選手の立場からすれば、直前プラが何の役にも立たない場合も多く、状況変化について行けた者のみが上位に行く。

事実、今回の試合でも初日下位、二日目上位、もしくはその逆と言った選手も何人か居た。全く気が抜けない魚なのである。

また、国内で言えば、スモールマウスの試合が開催されるのは野尻湖と桧原湖のみ。マスターズ上がりの選手は野尻湖でスモールマウス戦の経験があるからまだマシなものの、それでも晩秋しか経験が無い。必然的にベテラン勢が優位になる。

◆完成されたリグと日替わりのリズム

僅かなアクションの違いや同じルアーでもカラーの違いによって極端な差が出るのもスモールの特徴だ。動かすスピードが少し違うだけで、一人だけ入れ食いになったりする。実は、自分もTOP50野尻湖戦でそれを経験している。

フラットの船団で僅か10mと離れていない隣の選手だけが入れ食いになった。その選手は私の既に投入したスポット(ちょうどボートとボートの中間部)に落としているにも拘わらず、いれ食って10本も20本も釣りまくっていった。その間の私はゼロ。

そしてその選手こそが今回優勝する青木選手だった。

この「繊細な差」をその日のその瞬間にアジャストできるかどうかがスモール戦のカギとなる。

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二日目のミーティングの様子。

その日の風、光量次第でリグの速度などが変わってくる。ウェイインの時になると、朝考えていたリズム感と全く違うリズムで釣りをしてたと気づくことが多い。

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初日首位通過の青木大介艇はいつも通りカメラ同船。

青木選手はDVDでほぼ全てを公開しているため、タックルセッティングやリグのキモなどはそれを見てもらえればとても参考になるハズだ。

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澳原選手は準ホームということで、当然ながら地力で22位で予選通過。それでもトップとは僅か1200gしか離れていない。

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青木選手は予選3位通過。トップとは僅か290g差。

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小森選手は予選2位通過。トップから僅か270g差。

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NBCNEWSより写真をお借りしました)

河辺選手も1135g差で18位につけた。

とにかく、今回の試合はウェイトが拮抗していて、予選30位の選手でさえトップから1485g差しかない。

これだけ見ると、2014年の桧原湖戦の二日目の馬淵選手のようなウェイトを持ち込めばまさかの30位からの優勝もあり得るということだが…

何はともあれ、今回Fantasista4選手は全員が三日目にコマを進めた。

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最終日のスタート風景。

スモール戦は毎日悩む。二日間釣って来たからと言って全く安心できないのがスモールの辛さであり楽しみでもある。

その日のリズムを掴んだ時はラージ戦の時よりも強烈だ。その細くて鋭い”その日の芯”のパターンまでいかに早く辿り着くかが勝負のカギ。

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河辺選手は3日目単日5位の3995gを持ち込んで11位入賞となった。

前回の七色戦の時もそうだったが、3日間安定していて好調を維持しているようだ。年間順位も26位まで上げてきた。

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単日3位の4070gを釣って来た青木選手。

三日間ともDeez 60XUL "Finesse ZERO"Revo MGX2500SHGulp!ベビーサーディンバニッシュレボリューション2ポンドの1.3gダウンショット。

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野尻湖戦でもこのタックルが基準となる。スモールマウス戦用に「完全に完成されたリグとタックルバランス」だ。

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最終日の単日17位の3625gの小森選手。

Fantasista STUDIOUS FSNS-61SULSというプロトロッドで1インチミノーのダウンショット。これを二日目まではバンクとフラットで。三日目はバンクに行けずフラットのみでこの釣果。三日間で70本を超えるスモールを釣ったとのこと。

最終的に5位でフィニッシュ!

七色戦に続き、2戦連続で青木選手とポディウムに上る事になった。

◆リールチューンとタックルバランス

スモールマウスとラージマウスではフッキングした後の引き方が違う。上述したように、スモールマウスはトラウト系の魚のような引きをする。

もっと詳しく書くと、ラージマウスの場合は口を開いてファイトする。水中でも口を開いたままだ。ところが、スモールマウスの場合は口を閉じてファイトする。これにより、引いている時のスピード感が全く違う。

「スモールマウスは良く引く」と言われる所以はここにある。

ラージマウスがトルクフルな引きを見せるのに対し、スモールの場合はスピードが早い。そして、ラージの様に休憩が無く引き続ける。それ故、タックルセッティングが変わってくるのは当然のことになる。

特に重要なのが、ロッド選択とドラグ調整。

スモール戦の場合、フラットの船団の中でファイトすることが多く、ドラグクリックの機能(ドラグでラインが出る時にジージーと音がする機能)を殺している選手が多い。これは、周りへの選手の配慮もあったりするのだが、それ以上にドラグの性能を向上させるという意味が大きい。実は、「ジ」と1回鳴る度にラインにはほんの数グラムではあるが負荷が増加する。それすらも消して、フラットな負荷でラインに出てもらわないとスモールのスピーディーなダッシュでラインブレイクしてしまう恐れもある。増して、スモール戦の場合はラインが極端に細い。

極端な例として、2012年のウィニングパターンでは使用されたラインが1.5ポンドという細さ。そこまでは行かないにしても、通常は2~2.5ポンドを使う。

そこで、出てくるのがRevo MGX/PRM/ALX/ROCKETで使用できるAbu Works Revoチューニングキットだ。

今回の青木プロはDeez Kitを、小森プロもSTUDIOUS Kitを使用している。

これらのチューニングキットが今回の釣果に寄与した事は明白だ。

◆今期2勝目の青木大介という選手 15

これで今期2勝目!

そんな青木選手は桧原湖が得意だというデータがある。

TOP50桧原湖戦では2008年までの過去9年で2012年を除いてシングルが8回。過去4年に限ってみると平均順位が4.25位(2013と2014は重量による順位に換算)

そして、今回の優勝

つまりは、桧原湖は「ほぼシングル確定」という強さだ。

青木選手の場合、「毎日その日の魚を探す」という作業を念頭に置いて釣りをしている。従って、そういうバスの探し方をしているので、「その日のスモール」に合わせるのが他の選手よりも早いのかもしれない。

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私がTOP50に昇格した年に青木選手に質問をしたことがある。

「どうして三日目に向かってウェイトが上がっていくのか?」と聞いたところ、「初日から段々と分かってくるじゃないですか」とサラリと答えてきた。通常は初日、二日目、三日目とプレッシャーで釣れなくなっていきそうなところだが、彼の場合はそのマイナス要素よりも判ってくるプラス要素を繋ぎ合わせて釣っていくのだ。三日目は特に2時間も釣りが出来る時間が短いが、彼にとっては三日目はパターン構築の”完成の日”なのだろう。

そして、年間順位も初戦から20位→1位→2位→1位という圧倒的な強さで2位に27ポイント差を付けてぶっちぎりである。よほどの事が無い限り、「今年は青木の年」と言えそうだ。

最終戦はエリアが広く様々な季節感や意味合いを持つ魚が存在する霞ヶ浦。今回25位フィニッシュとなった澳原選手のホームレイクだ。

実は、その最終戦前にBasser ALLSTAR CLASSICが霞ヶ浦水系戦で開催される。Fantasistaの4選手は全員がこの試合に出場するため、TOP50最終戦に良い肩慣らしとなることだろう。

そして、最終戦で今年のELITE5に行くのは誰かが決まる。

4名のFantasistaに最終戦も注目です!

北山 睦

2017.10.12